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MGSV:TPP考察 その4 [ゲーム]

まだやんのかよって感じですけど、
また噛みだしたら味がし出したんで、ちょっとやってみようと思います。

もう自分の中では、「アウターヘブン蜂起失敗はヴェノムの自作自演説」が定説になってしまったので、そっちの根拠しか探さなくなってしまっていますがご了承ください。
あと、いっぺんに盛り込んだんですっげぇ長いのもご了承ください。無理か。

1、チコ=グレイフォックス説
何やら海外で発売されたアートブックには不使用となった資料とやらが載っていたようでして(今更感)、ネット上では、もはや定説と化している様子(?)。このアートブックの記載によると、チコのウォークマン(?)は1984年もまだ使っているそうですね。

まあね。胸にイヤホンジャックとか、気になる設定小出しにしといて、「そんなことはなかったぜ」はないでしょう。「実は何かあったけど、描き切れなかったせいで、何もないことにせざるを得なかった」とでも言ってもらった方が、「ああそうなの?」となります。ちなみに、声帯虫との関連も考えましたが、あっちは声帯にイヤホン側を刺すので別物ですわな。


設定的には、グレイフォックスが絡んでもおかしくない、と言うか、絡ませる気満々だと思えるんですよね。

コスタリカのスペイン語とモザンビークのポルトガル語は、同じラテン語系の言葉ということで親和性が高いと言いますか、順応はできそうですから。片方喋れれば、もう片方はおおむね理解できるんだとか。(関係ないでしょうけど、ラテン語で思い出すのはソリダス(Solidus)ですね。ドルの由来になったとされるローマの金貨)
TPPの舞台の一つはコンゴ(※ザイール)とアンゴラ国境地帯。アンゴラはモザンビークとともにポルトガル語諸国共同体の加盟国ですし、内戦は例のごとく米ソの代理戦争の様相でした。コンゴは、マザーベース襲撃の1974年頃には既にアメリカ支持の反モブツ政権感情が高揚、アンゴラはモブツ政権打倒を掲げていました。ちなみにナオミと出会ったローデシア紛争も、モザンビークと絡んできますね。

で。
チコ=グレイフォックス説が事実だとして、の考察です。イヤホンジャックは、何者かによるサイボーグ化の最初の一手でありましょう。捕まる前だったのか、捕まってからなのかはわかりません。
胸にイヤホンジャックって、どんなサイボーグ化手術だったというんでしょうか。
音声を聞くための機器が、体内に入っている・・・ってことで思いつくのは、無線です。
そう言えば彼、無線で救援を求めてましたね。まあ別に、それだけなら体内に埋める必要ないですけど。片や人間爆弾、片や人間発信機。なんて。
それと一つ気になったのはですね。チコ、救出された後、ヘリの中で歩けてるのかもしれないんですよ。チコは、踵(アキレス腱部分)にボルト打たれてまして、ビッグボスに「これでは無理だ(歩けない)」と言われてましたね。パスが人間爆弾にされたことにビッグボスが気付いた際にも、抱えられてました。ですが、カズがヘリに乗り込み、パスに掴みかかった際、彼、思わず立ち上がってるんですよ。できるんですかね、これ。
その時点ではまだ、「バーに掴まって膝立ち」しただけのようにも見えたんですが、その後パスの方に近寄ろうとしてますよね。これが、どうも自分には、歩けているように見えたんです。
まあ、「このくらいまでならできた」のかもしれません。気にし過ぎなのかもしれない。
でも皆さんご存知の伏線が、あのシーンには既に隠されていたんだし、もしやということも。
歩けたのだとすれば、なぜ歩けたのか。ひょっとすると、このボルトも実はサイボーグ化に関係が・・・?ボルトと言えば、ヒューイの義肢も、骨にボルトで留めてるんでしたっけ?いやさすがに考えすぎか。
いや、そういえば、流出ファイルとされている台本らしきExcelファイルで、気になる記述を見たなぁ。核廃絶エンドの中に、チコの名が。そして・・・。
うーむ、意外と真実味あったりして。

ところで、リカルド・ヴァレンシアノ・リブレというチコの本名が出てましたね。
フランク・イェーガーは、由来からして本名というよりあだ名のようなものです。片言のドイツ語を話す「フランクな殺し屋」だそうでして。

しかし解せないのは、ドイツ語ってのがどっから来てるのかってことです。言葉はMGSVの大事なテーマですし、グレイフォックスのそこそこ大事な設定だと思うんで、どこかで絡めてくるかと思うんですが。
ドイツ語になるとチコの名はどうなるか。リヒャルト・ファレンティアーノ・フライエ?
うーん、あんまり関係性見えてきませんね。

チコと言えば、もう一つ気になる点。
ビッグボスは、かつてチコに「恥じることはない。誰も痛みには逆らえない」と話しました。
スカルフェイスは、「お前は仲間を売った。これで一人前の兵士だ」と。
この台詞が実は重要なキーなのではないかと。
これらの台詞は、チコを励ますために投げかけられたものという意味では一致していますね。
しかし、ビッグボスのそれは、「拷問による自白なんだからしょうがないよ、気にするな」というニュアンスですが、スカルフェイスの言葉が意味するところは違うようで。
それは、チコが自由・革命の戦士・闘士であった時代は終わり、拷問と、愛する人との死別を経て、それ以外のことなど気にも留めない(目的達成のためには)大胆不敵な兵士が完成した、ということでしょうね。
これと似たような考え方は、ユダヤ人に関する本で目にしました。
ホロコーストを体験したユダヤ人は、「きれいごと言ったって、他のやつらはどうせ助けてくれないんだから、自分たちのことは自分たちで守るよ。それでよその国が何か言ってきたって知らねえよ」といったような考え方を持っているそうです。このことは、イスラエルの戦略に表れていますね。
ユダヤ人・ホロコーストとくればドイツ。自分は、このあたりが「片言のドイツ語を話す」という設定に絡んできたのではないかと想像しました。スカルフェイスはハンガリー出身だそうですが、ハンガリーはドイツからの要求でホロコーストに加担しちゃってるそうで。また、「母語を失う」という彼のような境遇の子供たちが、例えばフランス国境のエルザス=ロートリンゲン(アルザス=ロレーヌ)地方においても生まれています。

ヌルは・・・どうなんでしょうねえ。


2、Punished”Venom”Snakeの名
自分、ヴェノムの別名が「Punished」であることにちょっとした違和感を覚えておりました。
罰を受けた?罰って何?と。

このコードネームは、どうやらサイファー(ゼロ)がつけた名前のようです。物語上、そんな呼ばれ方してないのは、彼が「本物のビッグボス」の影武者だからなわけですが、だからこそ我々、あんまりこの名前を意識しないんじゃないかと思うんですよね。

彼が受けた罰って何でしょう。
多くの仲間を失いました。
思いを寄せた人を失いました。
マザーベースを失いました。
左腕と右目を失いました。
他にも・・・。
それらが罰?

では、なんの罪に対する罰?
「罪」と聞いて思い出すのは、テーマソング「Sin of the father」。
父の罪とは、ヴェノムにとってはビッグボスの罪、でしょうかね。ヴェノムの方が年上だそうですが、ビッグボスの部下であって、面倒みられていた弟子のようなもんでしょうから。
ビッグボスの罪を背負い、罰を受ける役を担わされた、という意味は成立します。彼は影武者として用意されたわけですし、ビッグボスの「身代わり」として「罰に苦しめられた者」を演じることになった。(もちろんもともと彼も罪の意識はありますし、「ビッグボスにはなかった」というわけでもないのでしょうけれど。「世界を売った男」という呼び名はビッグボスの自虐っぽい感じはありますよね)


そこで「Sin of the father」の中にある以下の歌詞を振り返ってみましょう。

Words that kill, would you speak them to me
(私を殺す言葉を言ってくれ)
With your breath so still, it makes me believe
(あなたの息が続くことが 私を信じさせてくれる)

これは、ビッグボスに対して言っている、というのが大方の考えでしょうが、でもそうなると題名の「父の罪」ってところが引っかかる。
これは実は、ソリッド(或いは「父の罪」を罰する側の人間)に対するメッセージなのでは?
罪を持つ父を殺すためにやってくる者。彼が生き続ける限り、未来への希望がある。
自分が「アウターヘブン蜂起失敗はヴェノムの自作自演説」を信じるに至ったのは、この歌詞のイメージがあったからなのかも。


3、掴めなかった蝶
ネイキッドスネークが右目を失った後、「今度は逃がさない」と言っていたのは蛾でしたが。
「片目」を失う事は、兵士としては大きなハンディキャップ。距離感覚を失い、滝の裏でつかみ損ねた蛾を模してC4で作った粘土細工。これを掴んで上記のセリフを言ったのでした。
これは、右目を失っても兵士としての未来を掴むことができた、ということを表しています。
あの蛾は、「戦士としての生の充足」の象徴と考えます。

ヴェノムスネークが掴み損ねたのは、蛾ならぬモルフォ蝶。

モルフォ蝶は、PWで象徴的に登場した蝶。美しいけど、毒のある蝶。
平和憲法を持つ永世中立国、コスタリカに多いというペレイデスモルフォ。
沈むピースウォーカーにまとわりついていました。
そして、ヴェノムがメディックとしてパス救出作戦に同行した際、乗っていたヘリが「モルフォ」。
ファンにとってはザ・ボスの意思が宿ったピースウォーカーの象徴であり、ヴェノムにとっては救えなかったパス(平和の使者)の象徴だと考えます。
つかみ損ねた、というより、元より幻であったわけですから、そう考えると哀しい場面ですよね。あれ。そこに大塚明夫氏の「パス・・・」という聞き取れるか取れないかくらいの呟き声が加わって、ますます哀しく感じられるのです。
まあそれはいいとして。

「平和は幻想。だからこそ、歌うしかない」
ストレンジラブが、ピースウォーカーの最期の行動を見て、ザ・ボスの意思を感じ取った際に述べた言葉です。
モルフォ蝶をつかめなかったヴェノムは、平和を掴んだのでしょうか。
ビッグボスは真の英雄だから未来を掴み、ヴェノムは仮初めの英雄だったから掴めなかった?
ビッグボスにもつかめなかった幻想の蝶「平和」が、ヴェノムに掴めるはずもなかった?
それとも、小島監督がファンに返した英雄=ヴェノムもまた、後にはビッグボスのように、彼なりの未来を掴んだのでしょうか?
いやむしろ、本当は、望みさえすればビッグボスにも、蛾ではなくモルフォ蝶を掴むことができたのでしょうか?


4、ヒューイ
ヒューイについては余所様で非常にためになる考察をしているところがあり、
それがもうほぼ正しい解釈と言って差しつかえないのではないかと思っております。
なので、ヒューイの立場をあれこれと考えると、あれはあれで正常な反応だろうなと考えてしまう。

彼は、「自分はだまされただけで、みんなが思うほど悪くない」と言ってほしかったんでしょうな。
だって、誰が悪かったかって聞かれたら、当時のマザーベースの立場で言っても、そりゃもうスカルフェイス一択でしょ。スカルフェイスの独断を知らなかったとしても、「サイファーのせい」どまりであるべきなんですよ。
例えば、泥棒に入られたお家に対して、「盗まれた家の持ち主の、セキュリティの甘さが悪い」なんて言う人いますよね。あれって、本当にそうですか?「悪い」のは泥棒でしょ?盗まれた人も悪いなんて、おかしいと思いません?普通に、安心して暮らすことが悪いってんなら、赤子は皆悪いし、かつて赤子であった全人類が悪い、ですよ。

自分はそういう人こそ「自分より他人を下に見ることで自己優越性を守ろうとする」類の、物事を正しく見られない人だと思っておりますが。まあ余談ですけど。

でね、自分がそういう立場になってみたらと思うと、ヒューイの気持ちもわからんでもないんですよ。
みんなヒューイのことクズクズ言いますけど、実際、自分が糾弾される立場になっても素直にいい子でいられます??僕が悪かったって。偉そうにあなたの罪状述べ立てる人たちが、実は聖人君子じゃないことをあなた自身が知っていたとしても?
そんな状況にあっても、あなたは冷静さを失わずに自分の罪だけを滔々と語ることのできる方かもしれません。そんな立派ないい子かもしれないですけど、みんながそうではないですよ。「ボヘミアンラプソディ」よろしく、スーパー逆ギレモードに突入するのは世の常と言ってもいい出来事ですよ。(そういやクイーンはデヴィッド・ボウイと同時期でしたね)
「そんなこと言ったってしかたがないじゃないか」「そっちだって悪かったじゃないか」なんて、交通事故の過失割合決める場面やらでよく聞く話でしょ。いざ速度超過とか一時停止義務違反で取り締まられたとき、「なんであいつは野放しなんだ」「どうして俺だけつかまえるんだ」「不公平じゃないか」なんてのもね。
みんな、ヒューイのことクズだのなんだの言えるほどの聖人君子ですか?
知ってるでしょ、皆さんだって。世の中の多くの人が、スピード違反してるじゃないですか。一時停止義務違反してるじゃないですか。そうでしょ?取り締まりのタイミングじゃないから捕まってないだけでしょ?
「みんなよくそんなにヒューイを悪く言えるもんだよなぁ・・・」となっちゃいませんか。俺はなっちゃいます。

ストレンジラブにも見放され(HALはお前の子じゃない、的な扱いされたかもしれませんので。もちろん息子を実験台に、とか頭おかしいですけど、それもスカルフェイス絡みですからね。うまいこと「やらされた」可能性もあります)、当たり散らす系のカズに狙われ(カズ自ら「お前が何も失っていないからだ」なんて逆恨み告白しちゃってます)、わかってくれるかも、と期待してたスネークは偽物だし、本物が偽物を通じてコンタクトを取ってくるでもないし。
大体、沈む前のマザーベースからとっとといなくなったストラブなんて意外とグレーじゃないですか?死人に口なしですし。カズも気の毒だとは思いますが、「返せ!あれは俺たちの!」ってこと言うんだったら、スカルフェイスが奪われた「国語」はどうなんだってことですよ。ビッグボスも冷たく見えませんか?言ってみれば、そういうなんやかんやをすべてほっぽり出して、顔を変え、名前を変えて、替え玉に成りすまして逃げ隠れて生きてるんですから。

味方のいない状況の中で、ヒューイが「あ、これはもう正しいことをやってる場合じゃないな」ってなったのだとしたら、自分は頷けてしまう派です。それでも子供だけは、ってなってほしかったですけど、まあHAL君が殺されるよりいい、とか、そこまで思い詰めてたのかもしれません。

自分のせいじゃない、他人のせいだと思おうとしていた。
そんなの、ヒューイだけじゃないですよ。ヒューイのように、良くないものに見える「誰か」のせいにしようとするすべての人がそうですよ。ってことです。

さて。
悪いのはスカルフェイス。それは、マザーベースにいた側からすれば正しい。
でも、この話の中で、その外側から見た人たちがいます。
それは、幻肢パス。「ある意味当然の報いよ」のセリフがその証です。
ということは、その幻肢パスを生み出しているヴェノムもまた、マザーベースの外側から見ています。
まだいます。マザーベースの立場を超えてみている人。
それはプレイヤー。ヴェノムはプレイヤー自身なのですから、超越的に俯瞰で見ているのが正しい視点なのではないでしょうか。
先ほどビッグボスは冷たい、と言いましたが、もちろん本意ではありません。
冷静な見方をすればするほど、個人の感情はある程度「見放す」ことになるからです。
個人的な感情が間違っているというのではないです。ただ、「それはそれとして」とせざるを得ない。
だからこそヴェノムは、ビッグボスの影武者となったんでしょう。
ただ、影武者は、ビッグボスと同じ未来を描いていなかった、というのが、自分の解釈ではありますが。


そろそろやめましょう。めっさ長い。確認するだけでも一苦労になってきた。
イーライ、サイファー(愛国者たちの代理AIとしての)についても考察したい部分がありますが、次回に譲ります。レプタイルポッドに宿っていたザ・ボスの意思とは?「HALを守って」というストレンジラブの願いは、如何にして聞き届けられたのか?みたいな感じになるかと思います。予告。

今回も読んでくれた方、ありがとうございます。
次回もよろしければお付き合いください。

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